こんにちは。福岡のブランディングデザイン事務所、アルジュナのササダです。
さて、皆さんの会社では「ブランディング」という言葉、どのように捉えられていますか?
「なんだか費用がたくさんかかりそう…」
「華やかな消費者向け商品の話で、ウチのようなBtoB企業にはあまり関係ないかな」
「結局、それって売上につながるの?」
もしかしたら、このようなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
実は、私たちアルジュナがお客様とお話しする中でも、特にBtoB企業の方から同じようなお声をよく耳にします。しかし、私たちはこう考えています。「BtoB企業にこそ、ブランディングは不可欠な経営戦略です」と。
ただし、そこには一つ、とても大切なポイントがあります。
それは、「ブランディングは、短期的な売上を上げるための特効薬ではなく、未来のお客様から選ばれ続けるための土台を作る活動である」という視点を持つことです。
今回のブログでは、多くの方が誤解しがちなBtoBブランディングの本質と、その重要性について、少し紐解いていきたいと思います。
「伝えたい」と「伝わらせたい」。マーケティングとブランディングの違いをご存知ですか?
まず、よく混同されがちな「マーケティング」と「ブランディング」の違いから、一緒に整理してみましょう。
- マーケティング:自社の良さを「伝えたい」と、こちらから積極的にアピールする活動。
- ブランディング:自社の価値が、お客様の中に自然と「伝わらせたい」と願い、そのための環境を整える活動。
例えば、「この新製品は従来比で性能が30%アップしました!」と情報を発信し、購買を促すのはマーケティング活動です。
一方ブランディングは、「〇〇の分野で専門家を探すなら、まずはあの会社に聞いてみよう」と、お客様の心の中で“最初の選択肢”として思い出してもらえる状態を作ること。少し言葉遊びのようですが、この「伝えたい」と「伝わらせたい」のニュアンスの違いが、実は非常に大切なポイントなんです。
もちろん、どちらが良い悪いという話ではありません。車の両輪のように、どちらもビジネスを前に進めるためには不可欠です。ただ、日々の活動の中では、どうしても目先の販促を中心としたマーケティングに偏りがちで、「伝わらせる」というブランディングの視点が、つい後回しになってしまうことが多いのではないでしょうか。
BtoB企業でよく聞かれる、ブランディングへの「3つの声」
とはいえ、BtoB企業にとってブランディングが「言うは易く行うは難し」であることも事実です。そこには、BtoBならではの事業環境や企業文化が関係しているのかもしれません。
1. 「ウチは技術力と実績で勝負だから」という声
長年の実績がある企業様や、高い技術力に自信をお持ちの企業様からよく聞かれるお声です。「業界ではもう知られているから、今さらブランドなんて」と感じていらっしゃるケースですね。
ただ、「社名を知っていること」と「その会社の“独自の価値”を理解し、積極的に選びたいと思うこと」の間には、実は大きな隔たりがあります。価値が正しく伝わっていなければ、知らないうちに価格だけで比較されたり、新しい価値を提案する競合に相談カウンターを持っていかれたり…なんてことも起こりかねません。
2. 「今は目の前の営業や開発が最優先」という声
「ブランディングのような、少しフワッとした話よりも、まずは目の前の数字を作ることが先決だ」という考えです。そのお気持ちも、日々現場で奮闘されている方々にとっては、至極当然のことだと思います。
しかし、一つひとつの商談を点で捉えるだけでなく、未来の商談をもっと有利に進めるための「仕込み」としてブランディングを捉えなければ、いつまでも新規開拓の苦労が続く…という可能性もあります。長期的な視点を持つことが、未来の営業活動を楽にしてくれるのです。
3. 「結局、効果がよくわからない」という声
BtoB企業様が合理的な判断をされるからこそ、この壁は大きいかもしれません。ブランディングは、かけた費用に対して「お問い合わせが〇件増えた」というような、直接的な効果測定が難しい領域です。
ですが、数値化しにくいからといって、価値がないわけではありません。ブランドへの信頼は、商談の受注率を高めたり、理不尽な価格競争から抜け出せたり、理念に共感した優秀な人材が集まったりと、目には見えにくい形で、確実に会社の体力を強くしてくれるのです。
ブランディングの本当のゴールは、お客様の心の中の「第一想起」
では、BtoBブランディングが目指すべきゴールとは、一体何でしょうか。
私たちは、「この課題なら、〇〇社だよね」と、潜在的なお客様の頭の中に“最初の選択肢”として名前が挙がること(=第一想起)だと考えています。
BtoBの購買プロセスは、担当者さんが課題を感じ、情報収集をし、複数の会社を比較検討する…という長い道のりをたどります。この最初の「情報収集」の段階で、皆さんの会社の名前が候補に挙がらなければ、残念ながらその先の土俵にすら上がることができません。
ブランディングとは、すぐに売上という果実を収穫する「狩猟」ではなく、未来の豊かな収穫のために、じっくりと畑を耕し、良い種をまく「農耕」に似ています。すぐに結果は出なくとも、将来のビジネスを安定させるための、極めて重要な「投資」活動なのです。
ブランディングのはじめの一歩
「重要性はわかったけれど、じゃあ何から手をつければ…?」
そう思われた方も、ご安心ください。何も、いきなり大規模な広告を打つ必要はありません。ブランディングの第一歩は、もっと身近で、地道な作業から始まります。
まず取り組むべきは、自社の「価値の棚卸し」です。
- 私たちは、一体何者なのか?(自社の強み・提供価値・アイデンティティ)
- 競合他社さんと比べて、何が違うのだろう?(差別化ポイント)
- その価値を、私たちは誰に届けたいのだろうか?(お客様像・ペルソナ)
こうした問いに対して、社長から現場の社員まで、社内の皆が同じ言葉で語れる状態を作ること。これが、全てのスタートラインになります。この会社の「軸」がしっかりと定まって初めて、Webサイトや営業資料、日々のコミュニケーションといった全ての活動に、一貫性のある“らしさ”が宿るのです。
BtoBにおけるブランディングは、派手さや奇抜さを競うものではありません。自社の真の価値と誠実に向き合い、それをお客様に伝え続けることで、揺るぎない信頼関係を築いていく、息の長い活動です。
この記事が、皆さんの会社で「ウチの価値って何だろう?」と、ブランディングについて考える小さなきっかけになれば、私たちも嬉しく思います。
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