どうもアルジュナ広報ノダです!
ブランディングといえば企業の事例が多いですが、
意外に知られていないのが「市や県」といった地域のブランディングです。
その中でも、昨今目覚ましい成長を遂げている「福岡市」のブランディングについて今日は書いていきたいと思います。
福岡市は実は日本で4番目に大きな都市

九州だからさすがに中央都市よりも経済規模は並べないだろうと思いきや、なんと福岡市のGDPは政令指定都市の中で4番目の規模になります。
1位 大阪市
2位 横浜市
3位 名古屋市
4位 福岡市
その経済規模は2022年度で8.2兆円
市として非常に大きな経済規模でエクアドルやキューバとほぼ同じでひとつの国レベルの経済圏が存在しています。
2007年のデータだと6.9兆円なので、この十数年で1.3兆円の伸びを見せています。
さらに福岡は日本で唯一、少子高齢化かつ人口減少の時代において、20~40代の人口が増え続けている都市なんです。
この辺もイメージ戦略や都市計画の巧妙さが浸透している証拠といえます。
すべてが4キロ圏内で完結する街。福岡。

福岡といえば有名なのがコンパクトシティ。
これだけの経済規模を誇る福岡市ですが、じつは都市構造はおどろくほどコンパクトです。
主要都市の博多駅(駅)、天神(都心)、中洲(商業・観光)これらの主要エリアが半径4キロ以内に収まっています。
徒歩でのアクセス利便性にプラスして地下鉄やバスなどの公共交通機関も充実しており、さらに空港と港も比較的近く物流の面に関しても有利に働いています。
都市政策の実行力が福岡のブランド力を加速させている。

それに追い風となっているのが凄まじいスピードで実行される都市政策が挙げられます。
・都心部への都市機能の集積(天神ビッグバン)
2015〜2045年の約30年間かけて、天神エリアの老朽化ビルを建て替え、高機能オフィス・商業・公共空間へ再編する都心活性化プロジェクト。
■天神ビッグバンの目的
天神をアジア水準のビジネス拠点へ
災害に強い街へ(耐震補強・防災拠点化)
老朽化建物の更新
クリエイティブ産業の集積
歩きやすく滞在したくなる都心に再編集
天神ビックバンの最大の目的と言われいているのが容積率の大幅緩和(高さ規制を事実上撤廃)によって
老朽ビルの建て替えを条件に、最大400%以上の容積率緩和を認めるというもの
多くの巨大ビルの建て替えによって建物辺りのテナント数や就業者数が一気に跳ね上がり労働人口がさらに増えGDPを押し上げる形になります。
こうした地方都市の成功事例として福岡市のブランド価値をさらに強めていると言えます。
・博多駅周辺の再開発(博多コネクティッド)
天神ビッグバン同様、博多駅周辺も同じように博多駅周辺の老朽ビル建て替えを促進し、
交通ターミナル × ビジネス × ホテル × MICE を統合した広域プロジェクトを実施しています。
駅ということもあり観光などのインバウンドへのカンフル剤になり、観光面をさらに盛り上げると予測されます。
九州の玄関口。福岡=海外とのハブになる都市というブランドイメージが向上させる上手い戦略です。
・歩きやすい都市の形成(ウォーカブルシティ)
福岡市は、都市政策として ウォーカブル(歩行者中心) を強く推進しています。
ウォーカブルシティとは車中心ではなく、歩行者・自転車・公共交通を中心にした街づくり欧州・米国都市で採用されている手法で、福岡市は国内でも先進的と言われてます。
■ 福岡のウォーカブル政策の特徴
① 歩道拡幅(天神・博多・中洲)
・歩道の広さが“海外都市レベル”に近づいている
・ストリートカフェ文化の導入
・緑地・ベンチを増やし、人が滞在しやすくする
② 公共交通との接続最適化
・地下鉄(空港線・七隈線)の強化
・バスの系統再編
・専用レーンやバス案内の改善
③ 天神・博多を“歩ける都市軸”で接続
・キャナルシティ〜中洲〜天神を歩ける導線づくり
→ “都市回遊性”で商業・観光の売上が上がる。
④ 自転車利用の推進
・シェアサイクル(チャリチャリ等)
・自転車レーン
・短距離移動の効率化
⑤ 公共空間の「滞在性アップ」
・公園のデザイン性向上
・アート・カルチャーと連動
・オープンスペースの再設計
■ なぜ歩きやすい都市が重要なのか?
- 都市ブランドが上がる
歩きやすい都市は、世界の「住みたい都市ランキング」で常に上位。
- 回遊性が上がり、商業が活性化
歩ける → 店に入りやすい → 売上増 → 経済循環
- 観光回遊ルートを作れる
「歩ける都市」は滞在時間を伸ばし、消費も増える。
- 高齢者・子育て世代にやさしい
福岡は若年層の転入が多いが、高齢化も同時に進んでおり、ウォーカブル化は理にかなっている。
- スタートアップ都市としての魅力
世界のスタートアップ都市(ポートランド、バルセロナ、コペンハーゲン)は例外なくウォーカブル。
こうした大きな経済施策から、身近な都市計画まで同時に実行し常に都市としてのブランド価値を高めているのが福岡市です。
となりの熊本市と福岡市の違いを考えてみた。

では、福岡市のブランディング戦略の巧さを知るためにも、僕の暮らす福岡県のとなり熊本市と福岡市の比較をしてみたいと思います。
熊本市は九州の真ん中にあり、阿蘇や熊本城といった世界的にも有名な観光資源を有しており、
「観光」の面においては福岡よりも有意かもしれません。
近年くまモン戦略が大当たりしインバウンド需要もかなり好調な県ではあります。
しかし熊本市は福岡市に比べて圧倒的に劣っている部分があります。
それは「交通の利便性」です。
駅からメイン繁華街までの距離が徒歩では厳しかったり、空港からは16キロほど離れており時間帯によっては渋滞がひどく2時間くらいかかってしまうこともあります。
バスや市電といった公共交通機関は充実してますが、車社会の傾向が強く日本で一番渋滞のひどい県という不名誉な冠を持ってます。
そしてこれらの原因は元々城下町という性質上、道が入り組んだ構造になっており繁華街で渋滞が起きやすく、地下鉄による渋滞緩和も考えられましたが地下水が豊富な土地柄上、実現が難しいのが現状です。
最近は福岡市を見習いスタートアップ界隈の施策が盛り上がっていたり、渋滞緩和施策(チャリチャリの普及)など行っていますが、まだまだクリティカルな一発は生み出せていません。
ここ最近はくまモンだよりなところがあるので
福岡市のような「アジアの玄関口」といったブランドイメージを構築することができれば、もっとブランド価値を上げることができると思います。
ちなみにブランド総合研究所の出している都道府県魅力度ランキング2025では福岡県は6位、熊本県は19位に位置しています。
https://diamond.jp/articles/-/374065?page=2
今後の課題と将来性

最後に福岡市の将来と課題について書いていきたいと思います。
まず、福岡市はアジア連携が増大する都市になると予測されます。
福岡は 東京よりアジアに近くソウル・釜山・台北・上海などは 1〜2時間圏です。
外国人居住者の増加、海外スタートアップの拠点化、アジア企業のバックオフィス→福岡移転、クルーズ・MICE増加、物流のアジアハブ化、観光都市としての国際競争力向上などの現象が起きることで
福岡=アジアの“西の玄関”として一段上のフェーズに入ります。
さらに天神ビックバンと博多コネクテッドにより都心の高密化が進みます。
天神=商業 × スタートアップ
博多=交通 × ビジネス × ホテル
中洲=観光 × ナイトタイム × 文化
これらが歩行者ネットワークで接続され、一体的な都心圏が完成することで歩いて回れる国際都市として非常に強力なブランド構築ができます。
一方課題としては、
再開発や人口増加の影響で地価や家賃が東京・大阪に次いで上昇しています。
これまでコンパクトシティ構想により都会なのに生活コストが安いというメリットがありましたが、失いつつあります。
また、観光都市としては象徴となるような観光名所が少ないことが挙げられます。(熊本→阿蘇、大分→別府温泉、鹿児島→桜島のような)
その他、人口が増えすぎた結果、熊本のような慢性的な渋滞が予測されます。
渋滞の対策が遅れた場合は福岡の良さである交通の快適さが失われてしまう可能性があります。
とはいえ、これらの課題はこれまでの福岡の実行力や戦略の巧さから考えると解決する可能性が高いと思います。
これからも福岡のブランディングから目が離せないですね!
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