福岡 ブランディング・ブランディングデザイン・パッケージ・ロゴ デザイン事務所 株式会社アルジュナ

ブランドづくりは氷山のようなもの

ブログ

2025 07.23

/ブランディング

福岡のブランディングデザインのアルジュナのササダです。

 

めまぐるしく市場が変化し、あらゆる情報が溢れる現代。

私たちのような小さなチームや個人で事業を営む者にとって、「なぜ、お客様は私たちを選んでくれるのか?」という問いは、これまで以上に重みを増しています。その答えの鍵を握るのが「ブランディング」です。

 

しかし、多くの時間やコストをかけてウェブサイトを作り、ロゴを刷新したのに、なぜか手応えがない…。そう感じたことはないでしょうか。その原因は、ブランドづくりの「順番」を間違えているからかもしれません。

 

実は、成功するブランドづくりは「氷山」のような構造をしています。

お客様から見えているのは、水面に浮かぶ氷山の一角にすぎません。本当に重要なのは、その下にある、目には見えない巨大な氷の塊なのです。

 

この氷山モデルは、大きく3つの階層で成り立っています。

 

  1. コミュニケーション戦略(水面上に見える部分)
  2. マーケティング戦略(水面下・中間部分)
  3. 経営戦略(水面下・最も深い土台)

 

 

多くの人が、目に見える「コミュニケーション戦略」から着手してしまいますが、本当に力強いブランドは、その土台である「経営戦略」から丁寧につくり上げられているのです。今回はこの氷山モデルを一つひとつ深掘りしていきます。

 

経営戦略:すべての源流となる「私たちは何者か」という問い

 

氷山の最も大きく、最も深い部分。それが「経営戦略」です。

 

これは、難しい経営理論の話ではありません。シンプルに言えば、「私たちの事業が、なぜ社会に存在するのか」という、根本的な存在意義そのものです。

私たちは、誰を、どんな世界へ連れていきたいのか?(ビジョン)

そのために、私たちは何をすべきか?(ミッション)

私たちが絶対に譲れない価値観は何か?(バリュー)

 

これらに対する答え、つまり「理念」こそが、経営戦略の核となります。この理念がなければ、ブランドという船は、どこへ向かうべきか分からないまま大海を漂うことになってしまいます。すべての活動の源流であり、判断に迷ったときに立ち返るべき北極星なのです。

 

マーケティング戦略:理念を「届ける」ための設計図

経営戦略という「ありたい姿」が固まったら、次にそれを「誰に、何を、どのように届けるか」を具体的に考えるのが、氷山の中間部分にあたる「マーケティング戦略」です。

 

これは、理念という想いを、お客様に届けるための「設計図」と言えるでしょう。

 

誰に?(ターゲット顧客): 私たちの理念に最も共感してくれるのはどんな人だろう?

何を?(提供価値): その人たちに、私たちはどんな独自の価値を提供できるだろう?

どのように?(市場での立ち位置): 競合がいる中で、私たちはどんな存在として認識されたいだろうか?

 

例えば、スープ作家の有賀薫さんの事例を考えてみましょう。彼女の経営戦略の核が「スープで日々の暮らしを豊かにしたい」という理念だとすれば、マーケティング戦略は「忙しい毎日を送るけれど、丁寧な暮らしに憧れる人(ターゲット)」に、「手軽に作れるのに心も体も満たされるスープ(提供価値)」を、「親しみやすい専門家(立ち位置)」として届ける、という設計図を描くことになります。

 

この設計図があるからこそ、次にお話しするコミュニケーションが、的確にお客様の心に響くのです。

 

コミュニケーション戦略:想いを「カタチ」にする表現のすべて

 

そして最後に、水面上に見える氷山の一角、「コミュニケーション戦略」です。

ここでようやく、ロゴ、キャッチコピー、ウェブサイトのデザイン、広告、SNSの投稿といった、私たちが普段「ブランディング」と聞いて思い浮かべる要素が登場します。

 

重要なのは、これらすべての表現が、経営戦略(理念)とマーケティング戦略(設計図)に基づいて、一貫性をもってつくられていることです。

 

理念が「地球環境への配慮」なのに、過剰包装の商品を売っていては、お客様は混乱します。

 

ターゲットが「シニア層」なのに、若者向けの派手なウェブサイトでは、メッセージは届きません。

 

「心温まるコミュニケーション」を価値として掲げているのに、機械的な顧客対応をしていては、信頼は生まれません。

 

ロゴの色や形、SNSで使う言葉遣い、お客様へのメールの一文まで。ブランドに触れるすべての顧客体験(CX)が、私たちの理念を体現する「コミュニケーション」なのです。これらが一貫していることで、お客様の心の中に「〇〇といえば、この会社だよね」という、揺るぎない信頼と共感が育っていきます。

 

 

もし、あなたのブランドがうまく伝わっていないと感じるなら、一度、水面下に目を向けてみませんか。

目に見えるデザインや広告(コミュニケーション戦略)を作り直す前に、まずはチームで、あるいは自分自身と深く向き合い、私たちの土台を見つめ直すことが不可欠です。

 

私たちの理念(経営戦略)は何か?

その想いを、どう届けるか(マーケティング戦略)?

 

この問いから始めることこそが、一時的な流行に左右されない、本当に強く、愛されるブランドを築くための、唯一の道筋なのです。あなたの事業という氷山が、力強く、美しい姿で輝くことを心から願っています。

 

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