福岡 ブランディング・ブランディングデザイン・パッケージ・ロゴ デザイン事務所 株式会社アルジュナ

企業理念と経営理念とMVV

ブログ

2025 11.29

/ブランディング

こんにちは。福岡のブランディングデザイン事務所、アルジュナのササダです。

今回は「企業理念と経営理念とMVV(Mission / Vision / Value)の違い」について、まとめてみたいと思います。

・とりあえず“っぽい言葉”を並べているだけな気がする

・そもそも、企業理念と経営理念って何が違うの?

・MVVって言い方も聞くけれど、自社の体系とどうつながるのか分からない

そんなモヤモヤを抱えたまま、気になりながらも手をつけにくいですよね。

 

企業理念=「なぜこの会社は存在するのか」

まず「企業理念」は、会社の存在意義を一言で表したものだと考えています。

・私たちは、何のために存在しているのか

・社会やお客さまに対して、どんな価値を届けたいのか

・この会社がなくなったら、世の中のどんな「困りごと」が解決されないまま残るのか

こうした問いに対する答えが、企業理念の中心にあります。

ここは最も抽象度が高く、めったに変えない部分です。

流行の言葉を足したり、「いいことを言おう」と盛りすぎると、かえって誰の心にも届かなくなってしまうと思っています。

 

経営理念=「どんな考え方で経営していくのか」

一方で「経営理念」は、企業理念をもう少し社内向けにかみ砕いた、経営の判断軸のようなものです。

・どんな価値観を大切にしながら意思決定するのか

・売上や効率だけでは割り切れない場面で、何を優先するのか

・長期と短期の間で迷ったとき、どちらを選ぶ会社なのか

経営の現場では、毎日のように「AかBか」を選ぶ場面が出てきます。

そのときに、経営理念があることで「私たち”らしい”選び方」ができるようになる。

つまり、企業理念を“経営の行動基準”にまで落としたものが、経営理念だと言えるかもしれません。

 

 

企業理念の例:タイガー魔法瓶株式会社


タイガー魔法瓶株式会社HP

 

企業理念の例:楽天グループ

楽天株式会社HP

経営理念の例:株式会社ツムラ

株式会社ツムラHP

 

経営理念の例:ライオン株式会社

ライオン株式会社HP

 

MVV(Mission / Vision / Value)との関係

ここに最近よく聞く「MVV」という考え方が入ってきます。

・Mission:自社にしかできない(自社らしい)世の中への役立ち方(存在意義)

・Vision:どんな未来を実現したいのか(ありたい姿)

・Value:そのために、どんな価値観・行動を大切にするのか(行動指針)

※ミッションを実現する上で、提供すべき価値をバリュと考えたり、バリューを提供する上で、心がける日々の行動指針をスピリットと分けて考えるケースもあります。

日本企業で昔から使われてきた「企業理念・経営理念・行動指針」と、じつはそんなに離れているわけでないと私は思っています。

ざっくりと対応させると、

企業理念=Mission+Visionの核

経営理念=Missionを経営に引き寄せた考え方

行動指針=Value(現場での具体的な行動レベル)

このように整理することができるのでは?

さて、MVVを作成について大事なのは、かっこいい横文字を使うかどうかではなく、

自社の中で意味の通った“ひと続きの物語”になっているかどうかだと思っています。

 

作るときの順番と、よくあるつまずき

理念づくりの現場でよくあるのが、「言葉ありき」で考え始めてしまうパターンです。

・まずホワイトボードに単語をたくさん書き出す

・それらをつなぎ合わせて一文にしようとする

・なんとなく整ったけれど、自分でもあまりピンときていない……

これでは、どうしても“スローガンづくり”で終わってしまいます。

おすすめしているのは、順番を逆にすることです。

① 経営者やメンバーに、これまでの印象的なエピソードをたくさん話してもらう

② そのなかに共通して流れている「価値観」や「大事にしてきた選択」を見つける

③ それを抽象化して、企業理念・経営理念・MVVの骨格にしていく

つまり、「きれいな日本語を考える作業」ではなく、これまでの意思決定の積み重ねから、“すでにある理念”をすくい上げていく作業に近いイメージ。

 

言葉で終わらせないために

もちろん、紙の上にきれいな理念を並べるだけでは意味がありません…

・評価や人事の仕組みにどうつなげるか

・採用や広報のメッセージと矛盾していないか

・現場の会話のなかで、日常的に使われる言葉になっているか

こうした「仕組み」と「日々のコミュニケーション」まで含めて設計していくことで、はじめて理念は、会社の中に血が通ったかたちで息づいていきます。

 

企業理念・経営理念・MVV。

名前は違っても、その根っこにあるのは

「自分たちは何者で、何を大事にして生きていくのか」

という、とてもシンプルな問いです。

まだ言葉がまとまっていない状態でも、まったく問題ありません。
まずは自分たちで考えてみて、最後に伝わりやすい言葉に整えていくと、
社内外どちらにとっても共感してもらいやすいものになっていきます。

これまでの物語やエピソードを一緒にたどりながら、御社らしい理念のかたちを、一歩ずつ整えていければと思います。

 

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