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Z世代のブランド感覚 “選ぶ理由”が変わってきている気がする

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2026 05.31

/ブランディング

こんにちは。ブランディングデザイン事務所アルジュナのササダです。

最近、Z世代のブランド感覚について、少し気になっています。

そう思うようになったのは、調査記事を読んだからというより、仕事の中で若い世代の人たちと接する場面が少しずつ増えてきたからです。

デザインやブランディングの話をしているときに、彼ら彼女らは、単に「かっこいい」「かわいい」だけで判断しているわけではないように感じます。

「なぜそれを選ぶのか」
「その表現に無理がないか」
「そのブランドらしいと言えるのか」
「人に話したくなる理由があるか」

そういうところを、思っている以上に自然に見ている。

もちろん、こちらが「Z世代はこうだ」と決めつけることはできません。
でも、仕事の中で触れる若い感覚には、これまでのブランドの見方とは少し違うものがある気がしています。

 

 

Z世代とは、どんな世代なのか

「Z世代」という言葉は、もうずいぶん一般的に使われるようになりました。
ただ、あらためて考えてみると、Z世代とは単に“若い人たち”という意味ではありません。

マクロミルの記事では、Z世代は「1990年代後半〜2010年代前半に生まれた世代」とされ、日本国内では一般的に「1996年〜2012年頃生まれ」が該当すると紹介されています。

参考:https://www.macromill.com/service/words/generation-z/

2026年現在で考えると、だいたい10代半ばから20代後半くらいの人たちです。

この世代は、生まれたとき、あるいは物心がついたときから、インターネットやスマートフォン、SNSがかなり身近にありました。

わざわざ「ネットを見る」というより、生活の中にネットがある。
友だちとのやり取りも、情報収集も、買い物も、趣味も、発信も、オンラインとオフラインが自然につながっている。

そういう時間の中で育ってきた世代です。

世代ごとの生まれ年の目安。Z世代は、X世代・Y世代に続く世代として位置づけられています。

 

 

なぜ「Z世代」というのか

では、なぜ「Z世代」と呼ばれるのでしょうか。

もともと、1960年代半ばから1980年頃に生まれた世代を「X世代」と呼ぶ考え方があったそうです。
その次の世代が「Y世代」。いわゆるミレニアル世代です。
そして、その次にあたる世代として「Z世代」と呼ばれるようになりました。

つまり、Z世代の「Z」は、何か特別な意味を持つ一文字というより、X世代、Y世代に続くアルファベット上の流れからきている呼び方です。

ただ、呼び名としてはシンプルでも、この世代が育ってきた環境は、それ以前の世代とはかなり違います。

テレビや雑誌が情報の中心だった時代から、スマートフォンやSNSを通じて、誰もが情報を受け取り、比較し、発信する時代へ。
その変化の中で育ってきたのが、Z世代です。

もちろん、同じZ世代といっても一人ひとり違います。
1996年生まれの人と2012年生まれの人では、見てきた景色も違うはずです。

なので、ひとまとめに「Z世代はこうだ」と言い切るのは、少し乱暴かもしれません。

ただ、それでも共通して見えてくる感覚があります。

それは、ブランドを「上から憧れるもの」としてだけではなく、自分の価値観や生活感覚に合うかどうかで見ている、ということです。

今日はそのあたりを、ブランディングの視点から少し考えてみたいと思います。

 

 

Z世代は、情報が多すぎる時代に育っている

Z世代を考えるうえで、まず大きいのは、情報量の多さです。

昔は、ブランドの情報といえば、テレビCMや雑誌、店頭、広告などから受け取ることが中心でした。

企業が発信して、生活者がそれを見る。
どちらかというと、一方向のコミュニケーションです。

でも今は違います。

ブランド公式の投稿もある。
インフルエンサーの紹介もある。
友人のストーリーズもある。
レビューもある。
比較動画もある。
失敗談も、炎上も、裏側の話も出てくる。

ひとつの商品やブランドに触れる前から、いろんな角度の情報が目に入ってきます。

マクロミルの記事でも、Z世代はスマートフォンやSNSが生活に溶け込んだ環境で育ち、SNSをコミュニケーションだけでなく、検索や情報収集の場としても使っていると紹介されています。

参考:https://www.macromill.com/service/words/generation-z/

そう考えると、Z世代がブランドを見る目が慎重になるのは、とても自然なことです。

広告ではいいことを言っている。
でも、レビューではどう言われているのか。
公式サイトはきれいだけど、実際に使っている人の声はどうなのか。
社会的なことを言っているけれど、普段の行動と合っているのか。

そういう見方を、かなり自然にしているように感じます。

情報が多いからこそ、ただ目立つだけでは届きにくい。
そして、きれいに整えられた言葉だけでは信頼されにくい。

Z世代のブランド感覚の根っこには、この「情報に囲まれて育った感覚」があるのだと思います。

 

 

ブランドは、上から憧れるものだけではなくなっている

これまでブランドというと、どこか“上にあるもの”という印象がありました。

高級感がある。
歴史がある。
広告がかっこいい。
有名人が使っている。
持っていることで、少し自分がよく見える。

そういうブランドの力は、今ももちろんあります。

でも、Z世代を見ていると、ブランドとの距離がもう少し近いように感じます。

憧れの対象というより、

自分の感覚に合うかどうか。
自分の生活や価値観に自然に入ってくるかどうか。
そのブランドを選ぶことに、ちゃんと自分なりの理由があるかどうか。

そこを見ているような気がします。

たとえば、環境への配慮。
つくり手の姿勢。
言葉づかい。
SNSでのふるまい。
パッケージや店舗の空気感。
無理に盛りすぎていない感じ。

そうした細かな要素の積み重ねが、「このブランド、いいな」という感覚につながっているのではないでしょうか。

ブランドは、ただ目立てばいいものではなくなっている。
ちゃんと“感じられる姿勢”が必要になってきているのだと思います。

 

 

世代ごとに違う、ブランドとの向き合い方

世代によって、ブランドに対する感じ方や、情報の受け取り方には違いがあります。

もちろん、これはきれいに分けられるものではありません。
40代でもSNSを自然に使う人はいますし、10代でもテレビやリアルな体験を大事にする人はいます。

ただ、大きな傾向として見てみると、Z世代はやはり、SNSや口コミ、ブランドの価値観や世界観との相性をかなり自然に見ている世代だと思います。

各世代の価値観と、ブランドとの接点の違い。Z世代はSNSや口コミだけでなく、ブランドの価値観や世界観への共感も重視していると考えられます。

 

表にしてみると、Z世代は「SNSネイティブ」「タイパ重視」「個性重視」といった言葉で説明されることが多い世代です。

ただ、個人的には、それだけでは少し足りない気がしています。

SNSを使いこなしているから、SNSで届ければいい。
タイパを重視するから、短く見せればいい。
個性を大事にするから、派手に見せればいい。

そう単純な話ではないと思うのです。

むしろ、たくさんの情報に触れているからこそ、
「これは本当にそのブランドらしいのか」
「言っていることと、やっていることは合っているのか」
「自分が人に話したくなる理由があるのか」
という部分を見ている。

その意味では、Z世代に向けたブランドづくりは、表現の新しさだけではなく、ブランドの姿勢そのものが問われているのだと思います。

 

 

“本物っぽさ”には、けっこう敏感

Z世代のブランド感覚を考えるとき、「リアルさ」や「共感」という言葉がよく出てきます。

ただ、この“リアル”というのは、単にラフに見せるとか、若者っぽい言葉を使うとか、そういうことではないのだと思います。

むしろ、無理に寄せた感じはすぐに伝わってしまう。

「本当にそう思っているのかな」
「急に社会課題っぽいことを言い出したな」
「若い人に合わせようとして、ちょっと無理しているな」

そういう違和感に、とても敏感な世代だと感じます。

YouGovがアメリカのZ世代を対象にした調査でも、ブランドに求める要素として「信頼できること」「正直であること」「一貫性があること」が重視されていると報告されています。

参考:https://yougov.com/en-us/articles/53409-gen-z-wants-from-brands-values-ethics-authenticity

もちろん、これは海外の調査なので、そのまま日本に当てはめることはできないと思います。

ただ、ブランドの表面的な面白さよりも、「そのブランドがどういう姿勢でいるのか」を見ているという点では、日本の若い世代にも近い感覚があるように思います。

Z世代は、情報をそのまま受け取るというより、

「これは誰が言っているのか」
「どういう立場で言っているのか」
「言っていることと、やっていることは合っているのか」

を自然に見ているように思います。

だから、きれいな言葉だけでは届かない。
かっこいいビジュアルだけでも続かない。
ブランドの言葉と行動が合っているかどうかが、以前よりも見られている。

つまり、ブランドの“人格”のようなものが問われているのだと思います。

 

 

興味を持つのは、「語れる余白」があるブランド

Z世代が興味を持つブランドには、どこか「語れる余白」があるように感じます。

ただ便利。
ただ安い。
ただ有名。

それだけではなく、

なぜこの商品が生まれたのか。
どんな人がつくっているのか。
どんな考え方を大切にしているのか。
なぜ自分はこれを選びたいと思ったのか。

そういう“話せる理由”があるブランドです。

 

Z世代が興味を持つブランドには、背景や想い、つくり手の姿勢など、自分の言葉で語れる余白があります。

これは、立派な理念を大きく掲げるということではありません。
もっと小さなことでもいいと思います。

パッケージの雰囲気が好き。
お店の空気感が落ち着く。
SNSの言葉に無理がない。
つくっている人の顔が見える。
ちょっとした対応が誠実だった。
友だちに教えたくなる発見がある。

そういう小さな接点が、そのブランドを好きになるきっかけになる。

マクロミルの記事でも、Z世代の消費行動は単なる実利だけでなく、「意味」「所属感」「関係性」に影響されると紹介されています。

参考:https://www.macromill.com/service/words/generation-z/

この感覚は、ブランドづくりにとってとても大事だと思います。

Z世代は、ブランドをただ買って終わりではなく、誰かと共有するものとして見ているように思います。

買ったものを見せる。
使ってみた感想を投稿する。
友人と話題にする。
応援する。
逆に、買わないという選択をすることもある。

ブランドは、個人の中だけで完結するものではなく、誰かとのコミュニケーションの中で意味を持つものになってきているのかもしれません。

 

 

共有しているのは、商品よりも「感覚」

Z世代が共有しているものは、商品そのものだけではないように見えます。

「これを買った」という事実よりも、
「これを選んだ自分の感じ」
「このブランドの空気感」
「この世界観が好き」

という感覚を共有している。

たとえば、カフェを選ぶときも、味だけではありません。

空間の明るさ。
器の感じ。
音楽。
写真に残したときの雰囲気。
そこで過ごしている自分の気分。

そういうものまで含めて、その場所を選んでいる。

服や雑貨も同じようです。

機能や価格だけではなく、

自分らしく見えるか。
誰かに見せたいか。
でも、見せびらかしている感じにならないか。

その微妙なバランスを見ているように思います。

ブランドは、ステータスを見せるためのものから、自分の感覚を整えるものに近づいているのではないでしょうか。

だからこそ、作り込みすぎた正解よりも、少し余白があるほうがいい。
一方的に語られるよりも、自分の解釈を乗せられるほうがいい。
完璧な世界観よりも、参加できる感じがあるほうがいい。

ブランド側が全部を説明しきらないことも、これからは大切なのかもしれません。

 

 

「好き」と「信頼」は、少し別のものになっている

もうひとつ気になるのは、Z世代にとって「好き」と「信頼」が、少し別のものになってきていることです。

SNSで見て気になる。
ビジュアルがかわいい。
投稿の雰囲気が面白い。
一度は使ってみたい。

そういう入口は、とても軽やかです。

でも、そこから本当に買うか。
長く使うか。
人にすすめるか。
応援したいと思うか。

そこには、もう一段階深い判断があるように感じます。

アメリカの調査会社WalrがWe Are Talkerのために行った調査では、Z世代がブランドを判断するとき、インフルエンサーの発信よりも、カスタマーレビューや第三者の情報を信頼する傾向があるとされています。

参考:https://talkerresearch.com/customer-reviews-more-credible-than-influencers-for-gen-z/

つまり、好きになるスピードは速い。
でも、信頼するまでは意外と慎重。

これは、Z世代をターゲットにしたブランドづくりにとって、とても大切なポイントだと思います。

今は、見た目を整えることも、発信することも、以前よりずっと速くできるようになりました。

SNSもある。
AIもある。
一瞬でそれっぽい表現をつくることもできます。

でも、信頼は速くつくれません。

何を言ってきたか。
どう振る舞ってきたか。
困ったときにどう対応したか。
約束を守っているか。

その積み重ねでしか、信頼は生まれない。

Z世代は、その積み重ねをかなり冷静に見ている気がします。

 

 

若い世代に寄せるより、自分たちの姿勢を整える

Z世代に向けたブランドづくりというと、つい「若者にどう見せるか」という話になりがちです。

もっとポップにする。
SNSっぽくする。
流行の言葉を使う。
動画を増やす。
インフルエンサーを起用する。

もちろん、手法として必要な場面はあります。

でも、それだけではきっと足りません。

実際の仕事でも、「若い人に向けるなら、もっと今っぽくしたほうがいいのでは」と考える場面があります。

もちろん、見た目の新しさやSNSでの伝わりやすさは大切です。
でも、そこで無理に若者っぽく寄せすぎると、かえって薄く見えてしまうことがあります。

若い世代は、表現の新しさだけを見ているわけではなく、そこにちゃんと理由があるかを見ている。
そんなふうに感じます。

なぜこの言葉なのか。
なぜこの色なのか。
なぜこの見せ方なのか。
そのブランドが本当に大切にしていることと、表現がつながっているか。

そこに納得感があると、派手ではなくてもちゃんと伝わる。
逆に、流行の形だけを借りていると、どこかで違和感が出てしまう。

だから、Z世代に向けたブランドづくりで大切なのは、若く見せることではなく、ブランド自身の姿勢を整えることなのだと思います。

何を大切にしているのか。
何をしないのか。
誰に届けたいのか。
どんな関係をお客さんと築きたいのか。
その言葉と行動が、ちゃんと一致しているか。

Z世代は、ブランドの表面だけではなく、その奥にある態度を見ています。

だから、無理に若作りをする必要はない。

必要なのは、正直であること。
続けていること。
自分たちらしい言葉で話すこと。
そして、受け手が参加できる余白を残すこと。

これはZ世代だけに限らず、これからのブランド全体に求められることなのかもしれません。

 

 

ブランドは、一緒に意味をつくっていくものへ

ブランドは、企業がつくって、生活者が受け取るもの。

以前は、そんなふうに考えられていたかもしれません。

でも今は、少し違います。

生活者が使い、語り、投稿し、誰かにすすめ、ときには批判しながら、ブランドの意味は日々更新されていきます。

特にZ世代は、その感覚がとても自然です。

ブランドをただ消費するのではなく、

自分の価値観や人間関係の中で、どう位置づけるか。
そのブランドを選ぶことで、自分は何を共有しているのか。
そこまで含めて、ブランドを見ている。

そう考えると、これからのブランドづくりは、

「どう見せるか」だけではなく、
「どう関係をつくるか」

がますます大切になっていくのだと思います。

ロゴやデザイン、言葉、SNS、店舗、商品、対応。
そのすべてに、ブランドの姿勢がにじみ出ています。

そして、そのにじみ出たものを、Z世代はけっこうちゃんと見ている。

だからこそ、ブランドづくりは面白い。

表面的な流行を追いかけるだけではなく、自分たちの根っこを見直すきっかけにもなるからです。

Z世代のブランド感覚を考えることは、若い人向けのマーケティングを考えることではなく、これからの時代に信頼されるブランドとは何かを考えること。

そんなふうに捉えると、少し見え方が変わってくるのではないでしょうか。

 

 

参考にした情報

・マクロミル「Z世代とは?“空気を読む”から“意味で選ぶ”へ、変化する顧客のリアル」
https://www.macromill.com/service/words/generation-z/

・デロイト トーマツ グループ「2025年度 国内Z世代意識・購買行動調査」
https://www.deloitte.com/jp/ja/Industries/consumer-products/research/generationz-behavior-survey.html

・YouGov「What America’s Gen Z really wants from brands: Values, ethics, authenticity」
https://yougov.com/en-us/articles/53409-gen-z-wants-from-brands-values-ethics-authenticity

・Talker Research「Customer reviews more credible than influencers for Gen Z」
https://talkerresearch.com/customer-reviews-more-credible-than-influencers-for-gen-z/

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