福岡 ブランディング・ブランディングデザイン・パッケージ・ロゴ デザイン事務所 株式会社アルジュナ

事業承継は、会社の「意味」を引き継ぐこと。

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2026 10.19

/ブランディング /ロゴ(CI・VI) / ネーミング

こんにちは。長崎のブランディングデザイン事務所アルジュナの笹田です。

最近、お客さまと話をしていると、事業承継について考える機会が増えてきました。
親から子へ、あるいは社員や第三者へ。長く会社を経営してきた社長が、次の世代にバトンを渡す。
事業承継と聞くと、株式の譲渡や相続、税金、代表者の変更などを思い浮かべる方が多いと思います。もちろん、どれも大切なことですし、専門家の力が必要になる場面もたくさんあります。
ただ、僕はブランディングの仕事をしているので、少し違うことが気になります。
会社の名前や経営権は引き継げても、その会社が大切にしてきた考え方まで、きちんと引き継げるのだろうか。そんなことです。

 

長く続く会社には、言葉になっていないものがある

アルジュナは2008年に創業しました。これまで、長崎を中心にいろいろな企業の仕事をさせていただきました。歴史のある会社もあれば、新しい事業に挑戦している会社もあります。
その中で感じるのは、長く続いている会社ほど、外からは見えない魅力を持っているということです。たとえば、商品をつくるときのちょっとしたこだわり。お客さまへの対応の仕方。利益だけを考えればやらなくてもいいのに、ずっと続けている仕事。あるいは、昔の失敗から生まれた社内の決まりごと。経営者にとっては当たり前のことなので、特別な価値があるとは思っていない場合もあります。

でも、僕たちのような外部の人間が話を聞くと、「それって、すごく大事なことじゃないですか」と感じることがあるんです。
以前から、会社の歴史や技術、働く人たちに目を向ける仕事をしていると、単に商品やサービスが優れているから会社が続いてきたわけではないのだと感じます。お客さまとの関係があったり、地域とのつながりがあったり、何かあったときに逃げずに対応してきた積み重ねがあったり。そういうものは、決算書にも会社案内にも、なかなか出てきません。

ところが、事業承継のタイミングになると、その見えない部分をどう引き継ぐかが、とても大切になってくる気がします。

 

先代と後継者では、見えている景色が違う

少し想像してみてください。何十年も会社を経営してきた社長がいます。自分でお客さまを開拓し、苦しい時期も乗り越え、社員を雇い、少しずつ会社を大きくしてきました。

その社長には、会社を続けてきた理由があります。一方で、これから会社を引き継ぐ後継者はどうでしょう。
人手不足や採用の難しさ、デジタル化、新しい競合の存在など、今の経営環境を見ています。
「もっと若い人に知ってもらわないと」「新しい商品をつくりたい」「今の営業方法を変えたい」「会社のイメージも少し古くなっている気がする」そんな考えが出てくるのは自然なことです。

僕は、どちらの考えも大切だと思います。
ただ、先代が「これは変えたくない」と思っていることと、後継者が「ここは変えたい」と思っていることが、ぶつかってしまう場合もあるでしょう。
そもそも、なぜ変えたくないのか。なぜ変えなければならないのか。
そこを話さないまま進めると、なんとなくお互いが納得できない状態になってしまいます。実は、残すか変えるかの前に、考えることがあるのではないでしょうか。

 

ロゴを新しくすることが、ブランディングではない

事業承継や周年事業は、会社のイメージを見直すきっかけになります。
アルジュナでも、長い歴史を持つ企業の周年事業や、ブランドの見直しに関わる機会があります。そうした仕事では、ロゴやパッケージ、Webサイト、記念誌など、目に見えるものをつくることもあります。でも、制作物を考える前に、会社のこれまでを振り返る時間が必要だと感じています。

なぜ、この商品をつくり始めたのか。長い間、お客さまに選ばれてきた理由は何なのか。時代が変わっても、変えずにきたことは何なのか。歴史を振り返ると、今では当たり前になっていることにも、始まりがあったりします。

昔の写真や資料を見たり、当時のことを知っている人から話を聞いたりすることで、会社の違った一面が見えてくることもあります。こういう仕事は、僕自身、とても面白いと感じる部分です。デザインを考えるために話を聞いていたはずが、いつの間にか会社の歴史や経営の話になっている。そして、そういう話の中にこそ、デザインのヒントが隠れていることがあります。事業承継も同じではないでしょうか。新しい社長になったから、ロゴも新しくする。

もちろん、それもひとつの方法です。ただ、何のために変えるのかが整理できていなければ、見た目が変わっただけで終わってしまいます。反対に、会社が大切にしてきたことを理解したうえであれば、ロゴを変えないという選択もあると思います。変えることが正解でも、残すことが正解でもありません。その会社にとって、何が必要なのか。そこを考えるのがブランディングの仕事だと思っています。

 

先代と同じ経営者にならなくてもいい

事業承継について考えるとき、僕が特に大切だと思うのは、後継者が先代と同じ経営者になる必要はないということです。人が違えば、考え方も得意なことも違います。先代は営業が得意だったけれど、後継者は商品開発が得意かもしれません。先代は人とのつながりで会社を大きくしてきたけれど、後継者はWebやSNSを活用して、新しいお客さまとの接点をつくるのが得意かもしれません。

それでいいと思うんです。たとえば、昔からお客さまの細かな要望に応えることを大切にしてきた会社があったとします。これまでは、社長自らお客さまのところへ足を運び、直接話を聞いてきた。でも、これからは社員が対応できる仕組みをつくったり、Webから相談を受け付けたりする方法もあるでしょう。

やり方は違います。でも、お客さまの困りごとにきちんと向き合うという考え方は変わっていません。こう考えると、引き継ぐべきなのは、必ずしも先代のやり方そのものではないのかもしれません。なぜ、そのやり方をしてきたのか。何を大切にしていたのか。その理由を理解したうえで、次の時代に合った方法を考えていく。僕は、そんな事業承継ができたらいいなと思います。

 

自分たちの会社のことは、意外と分からない

ここまで書いてきましたが、実際に会社の強みや大切にしていることを整理するのは、簡単ではありません。僕たち自身もそうです。アルジュナも創業から18年目に入りましたが、自分たちの会社のことを客観的に見るのは難しいと感じます。普段やっている仕事は、自分たちにとっては当たり前です。お客さまから評価されていることでも、本人たちはそれほど特別だと思っていなかったりします。逆に、自分たちが強みだと思っていることと、お客さまが魅力を感じていることが違う場合もあります。これは、事業承継を考えている会社に限った話ではありません。ただ、先代と後継者がいる場合は、そこにそれぞれの経験や考え方も加わります。だからこそ、一度、外から会社を見つめ直してみることが必要なのだと思います。

 

ブランド診断から、一緒に考えていく

アルジュナでは、ブランディングの相談をいただいた際に、まずブランド診断から始めることを大切にしています。会社の歴史や理念、商品・サービス、顧客、組織、情報発信など、さまざまな角度から現在の状態を整理していきます。これは、会社に点数をつけて、良い悪いを決めるためのものではありません。自分たちが何を大切にしてきたのか。どんなところに強みがあるのか。お客さまからどう見られているのか。そして、これからどんな会社になっていきたいのか。そうしたことを考えるための入口です。事業承継であれば、先代と後継者、それぞれの考えを聞くことも大切でしょう。同じ会社にいても、見えているものは違います。その違いを無理にひとつにするのではなく、まずは知ることから始める。

話をしていくうちに、思っていた以上に共通する考えが見つかるかもしれませんし、これまで気づかなかった課題が出てくるかもしれません。僕たちがすべての答えを持っているわけではありません。むしろ、答えはその会社の中にあることが多いと思っています。その答えを一緒に探し、整理する。そこからブランディングが始まります。

 

診断だけでは、会社は変わらない

そして、もうひとつ。ブランド診断をして、方向性を整理しただけでは、会社はなかなか変わりません。これは僕たちも仕事をする中で感じていることです。どんなに良い理念やコンセプトができても、それが日々の仕事につながらなければ意味がありません。新しい商品を考えるとき。採用活動をするとき。営業の方法を見直すとき。WebサイトやSNSで情報を発信するとき。その都度、自分たちが大切にしていることに立ち返る必要があります。
でも、日々の仕事に追われていると、なかなかそこまで手が回らないものです。だからアルジュナでは、ブランド診断で終わるのではなく、その後も伴走しながらブランディングを進めていく支援を行っています。定期的に話をしながら、今の課題を整理したり、新しい取り組みについて一緒に考えたり。必要であれば、商品やサービスの見せ方を考え、Webサイトや会社案内、採用ツールなどの制作にもつなげていきます。最初から大きなリニューアルをする必要はありません。できることから少しずつ始めていけばいいと思います。大切なのは、一度決めたことをきれいな資料にして終わらせないこと。会社の中で使いながら、少しずつ育てていくことです。

 

事業承継は、新しい会社をつくる機会でもある

事業承継というと、これまでの会社を守っていくことに意識が向きがちです。もちろん、長年積み重ねてきたものを守ることは大切です。でも、せっかく次の世代へ引き継ぐのであれば、これからの会社についても考える機会にしてほしいと思います。先代がつくってきたものを知る。社員が大切にしてきたことを知る。お客さまから選ばれてきた理由を知る。そのうえで、後継者が自分の考えを加えていく。全部を変える必要はありませんし、全部を残す必要もありません。受け継ぐために、変えることもある。変えていくために、受け継ぐべきことを知る必要もある。

アルジュナでは、まずブランド診断を通して会社の現在地を整理し、その後も伴走しながら、これからの会社づくりをお手伝いしていきたいと考えています。ロゴやWebサイトをつくることも、その中のひとつです。でも、それだけではありません。

経営者や社員のみなさんと話をしながら、その会社らしさを見つけ、言葉にして、実際の仕事につなげていく。そんな関わり方を、これからも大切にしたいと思っています。事業承継を考えている方は、一度、先代や社員のみなさんと「うちの会社らしさって何だろう」と話してみてはいかがでしょうか。普段はなかなか聞けない話が出てくるかもしれません。

そして、もし自分たちだけでは整理が難しいと感じたら、アルジュナにも声をかけていただけるとうれしいです。

会社のこれまでを知り、これからを一緒に考える。そんなところから、お手伝いできればと思っています。

 

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